
ロードバイクにとって、チェーンの洗浄は重要で必須なメンテナンス箇所のひとつです。
ロードバイクの構造であれば、自分でチェーンを取り外して洗浄できます。しかしチェーンを取り外して洗浄する際は、万全の準備と正しい手順を踏むことが欠かせません。
そこでこの記事では、ロードバイクのチェーンを洗浄する方法と注意点について解説します。
チェーンの外し方から、おすすめクリーナーまで紹介しています。この記事を参考に、愛用のロードバイクの初めてのチェーン洗浄に挑戦してみませんか。
ロードバイクのチェーン洗浄はなぜ必要なの?
ロードバイクに乗るなら、定期的なチェーンの洗浄は必須です。
ロードバイクはチェーンが露出した構造になっているため、チェーン部分に汚れが付きやすいのが弱点です。チェーンの洗浄を怠ると、砂やホコリ、雨、排気ガスといった汚れがチェーンにたまり、サビの原因になるほか、変速操作がしにくくなることがあります。
チェーンの劣化を遅らせ、ロードバイクの快適な乗り心地を維持するために、チェーンを定期的に洗浄することが大切です。
ロードバイクチェーンの洗浄と取り外す方法
ロードバイクチェーンを洗浄する方法には、主に2つのパターンがあります。
- チェーンを装着したままおこなう
- チェーンを車体から取り外して作業する
チェーンを取り外して洗浄作業をおこなえば、チェーンの隅々の汚れまで落とせるほか、ロードバイクの車体全体の清掃が捗るのでおすすめです。
そこでここでは、チェーンを車体から取り外して洗浄作業する場合に準備するものや、具体的な作業手順を解説します。
準備するもの
ロードバイクチェーンを洗浄する際は、次のものをご用意ください。
必ず必要なもの | チェーンを取り外す場合に必要なもの |
---|---|
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|
ロードバークのチェーンを取り外す場合は、一旦チェーンを切断します。ミッシングリンクは、チェーンを切ったあとにつなぐために必要な部品です。
ネットショップやホームセンターで購入できますが、ロードバイクのギア数に対応したものでないと使用できません。ミッシングリンクを購入する際は必ず、対応するギア数を確認してください。
ロードバイクのチェーンを掃除する際は、手袋を着用するのがおすすめです。ケガの防止になるほか、油汚れが手指や爪の中まで入り込むのを防ぐ効果が期待できます。
最適なのは、厚手のゴム手袋です。オイルなどが染み込みにくく、さらにケガなどから手を保護します。なお軍手などの布製の手袋は、避けるのが無難でしょう。傷やケガの防止にはなりますが、布の隙間から汚れが内部まで浸透し、手が汚れます。
ロードバイクのチェーンを洗浄する際の手袋なら、ホームセンターの工具コーナーや百円ショップのガーデニングコーナーなどで販売されている、厚手のゴム製で手にフィットするデザインのものが便利です。
また水で汚れを洗い流す場合は、屋外の水道の近くで作業したり、バケツに水をくんで用意してください。
チェーンを取り外す方法
ロードバイクのチェーンの取り外しは、次の7つのステップでおこないます。
- 床に新聞などを敷いて汚れの付着を予防する
- 新聞の上に厚手のビニール袋を重ねて養生する
- ビニール袋の上にロードバイクを置く
- チェーンの連結部分にチェーンカッターを当てる
- 回すようにして切る
- 2箇所目の連結部分を切る
- そっとチェーンを取り外す
チェーンは2つの鉄製の芯で連結しています。この鉄の芯の中心部分にチェーンカッターを当てたら、くるりと回すように動かしてください。小さな力でも簡単にチェーンを切ることが可能です。
鉄の芯を2箇所とも切ると、チェーンを取り外せます。切った部分のチェーンは、捨てて構いません。
チェーンクリーナーの選び方と洗浄方法
チェーンの洗浄は、次の4つの手順でおこないます。
- ウェスなどで乾拭きして大まかに汚れを取り除く
- チェーンクリーナーで洗浄する
- ティッシュやブラシで細かな部分の汚れを落とす
- 乾拭きで完全に汚れを拭き取る
クリーナーを使用するまでに乾拭きで汚れをしっかり落とすと、以降の作業がスムーズに進みます。乾拭きするときはこすらずに、汚れを取り除くようにしてください。
なおチェーンクリーナーには、さまざまな種類があります。チェーンクリーナーの成分で比較したものが、下の表です。
比較項目 | 石油系クリーナー | アルカリ性クリーナー |
---|---|---|
特徴 | ・乾拭きだけで、水洗い不要 ・こびりついた油汚れにも強い | ・アルミ以外の素材で使用可能 ・さまざまな汚れに対応 |
見分け方 | 石油系溶剤や非イオン系界面活性剤と表記 | 植物性界面活性剤などの成分が記載されている |
対応する汚れの種類 | 油汚れ | ・油汚れ ・砂や泥 ・ホコリなど |
対応するチェーンの素材 | 鉄 ステンレス チタン アルミ | 鉄 ステンレス チタン |
チェーン洗浄の場所 | 限られたスペースでの作業向き | 流水洗浄できる場所での作業向き |
注意点 | ・ゴム製やプラスチック製のパーツにかかると劣化を早める ・車体などを保護した上での使用が必須 | アルミ製品では使用不可 |
チェーンクリーナーの4つのタイプで比較すると、次のようになります。
比較項目 | スプレータイプ | 泡タイプ | 液体タイプ | 洗浄機 |
---|---|---|---|---|
特徴 | ピンポイントに噴射できる | 泡で汚れを浮き上がらせる | 強力洗浄が可能 | 液体洗剤を入れて使用する機器 |
使用に適した箇所 | チェーン内の細かい部分や裏側などの隙間汚れ | ・広範囲に対応 ・軽微な汚れ | チェーン全体 | チェーン全体 |
メリット | チェーンを自転車につけたまま洗浄できる使用可能 | ・安価 ・手軽に掃除可能 ・水洗い・乾拭きのいずれにも対応 | 洗浄力が強い | ・液体クリーナーでの洗浄が簡単になる ・内臓のブラシで擦るので強い洗浄力が期待できる |
弱点 | ・洗浄力は弱め ・強い汚れはブラシで擦るなどの対応が必要 | 洗浄力は弱め | ・チェーンを取り外す必要がある ・つけ置きが必要で時間がかかる | ・機器の導入コストがかかる ・チェーンを取り外す必要がある ・つけ置きが必要で時間がかかる |
ロードバイクのチェーン用クリーナーは、チェーンの素材や汚れのタイプ、チェーン洗浄をおこなう場所に合わせて選んでください。
チェーンを乾かして注油する
チェーンの洗浄が終わったら、完全に水分を拭き取ってから油を差します。
床が汚れないように広げたビニールの上にチェーンを敷きます。チェーンをつないでいる鉄の芯の部分に、ピンポイントでチェーンオイルを差してください。オイルをつけすぎるとチェーンの劣化や機能の低下、汚れの付着につながります。
オイルをつけ過ぎた場合は適宜ウェスで拭き取りながら、丁寧に注油するのがポイントです。
チェーンの取り付けと調整方法
すべての鉄芯にチェーンオイルを差し終えたら、ミッシングリングでチェーンをつなぎます。
ミッシングリングは、チェーンの切った部分の両端に、互い違いになるように差し込んでください。カチッとした手応えと共にはまれば、接続は完了です。
一旦ミッシングリングに付け替えれば、次のチェーン洗浄の際は切断することなくチェーンを取り外せます。製品にもよりますが、ミッシングリングはおよそ5回程度まで、再利用が可能です。
チェーンをロードバイクに取り付けたら、たるみがないか確認します。チェーンを上下させて1cmから2cmくらいの遊びが発生するくらいがちょうどよいバランスです。
ロードバイクのように外装変速で変速ギアが露出している自転車の場合、チェーンの張り具合の調整には、専門的な知識や経験が必要です。極端に張っているもしくはたるみ過ぎている場合は、ロードバイクの修理ができる専門店に調整を依頼してください。知識がないまま調整作業すると、事故や故障につながるため危険です。
ロードバイクチェーンのコンディションを保つ方法
ロードバイクのチェーンは、次のような要因で徐々にたるみます。
- 経年劣化
- チェーンの張り過ぎ
- 段差の衝撃
経年劣化による消耗は、やむを得ません。しかし乗り方への配慮やこまめなメンテナンスによって、ロードバイクのチェーンのコンディションをよい状態に保つことが可能です。
チェーンが外れやすくなる原因
ロードバイクのチェーンは露出した構造になっており、不意に外れることがあります。チェーンが外れやすくなる原因は、次の4つです。
- 段差の激しい場所を無理に乗り越えた
- 転倒したときの衝撃
- 変速機の調整が不十分
- チェーンの消耗
定期的な専門家によるメンテナンスで、こまめにロードバイクの状態をご確認ください。
チェーンの劣化を防ぐ方法
チェーンの劣化を防ぐために欠かせないのは適切なメンテナンスと、無理のない乗り方です。
- 定期的にチェーンを洗浄する
- チェーン洗浄の際は適切なチェーンオイルを使用する
- 経年劣化を受け入れる
- 屋内で保管する
- 穴などの段差に入らない
定期的なチェーンの洗浄は、劣化を防ぐために欠かせません。洗浄したあとは少量のチェーンオイルを塗布して保護することが大切です。
なおチェーンオイルには、ドライタイプとウェットタイプがあります。
チェーンオイルの種類 | 質感 | 特徴 | 活用シーン |
ドライタイプ | サラッとしている | ・ホコリがつきにくい ・揮発性が高くこまめな塗り直しが必要 | ・街乗りなどの日常的なシーン ・天気のよいとき |
ウェットタイプ | 粘度が高い | ・揮発性が低く塗り直しの頻度が少ない ・塗りすぎると劣化を早める | ・雨天時 ・水気の多い場所を走るとき |
日常使いするロードバイクであれば、チェーンオイルはドライタイプが適切です。定期的な塗り直しで、メンテナンスをおこなってください。
ただしこまめにメンテナンスしても、ロードバイクをはじめとする自転車の部品は消耗品であるため、使用に伴って劣化します。劣化した部品の交換を随時おこなうことが、ロードバイクの寿命を伸ばすために重要です。またロードバイクは屋内で保管なさってください。
突然チェーンが外れてしまったら?
ロードバイクのチェーンが外れる頻度が高い場合は、専門のショップでの点検が必要です。しかし構造上ロードバイクのチェーンは外れやすい傾向があり、誰もが一度はチェーンが外れる経験をするものです。
自分で直す方法を知っておくと、不意にチェーンが外れた際にも安心です。
ロードバイクのチェーンが外れるときのパターンには、次の2通りがあります。
- チェーンが内側に落ちる
- チェーンが外側に落ちる
1.チェーンが内側に落ちたときの直し方
チェーンが、ペダルとつながったアームやギアの部分であるクランクより内側に落ちた場合は、次の手順で直します。
- シフトレバーはインナー側にする
- うしろの変速機に付属した2つ並んだ小さな歯車の部分であるプーリーケージを、進行方向に押し込む
- チェーンがたるんでいるのを確認する
- チェーンを掴んで、インナーギアの上側から引っ掛ける
このとき、ギア全体にチェーンを引っ掛けなくても、上方にある程度引っ掛け、後輪を浮かしてペダルを進行方向に回せば、ギアの回転を利用して全体に引っ掛けられます。
2.チェーンが外側に落ちたときの直し方
チェーンが、ペダルとつながったアームやギアの部分であるクランクより外側に落ちた場合は、以下の手順で直します。
- シフトレバーをアウターに入れる
- うしろの変速機に付属した2つ並んだ小さな歯車の部分であるプーリーケージを、進行方向に押し込む
- チェーンがたるんでいるのを確認する
- チェーンを掴み、アウターギアの上側から引っ掛けてる
なお外側に落ちた場合は、内側に落ちたときに比べてギアが大きいため、引っ掛けるのが難しいことがあります。焦らず慎重に作業をおこなってください。
チェーン洗浄をおこなう際の注意点
ロードバイクのチェーンを洗浄する際は、次の3点にご注意ください。
- チェーンオイルのつけすぎはNG
- 最低でも月1回程度はチェーン洗浄する
- チェーン洗浄は基本的に屋外でおこなう
チェーンオイルのつけすぎはNG
チェーンオイルをつけすぎると、次のようなデメリットがあります。
- 汚れがつきやすくなる
- チェーンの回転が悪くなる
- 次のチェーン洗浄の際に膨大な時間がかかる
- 落ちないひどい汚れがつく可能性がある
- フレームの塗装を傷める
- ロードバイクのほかのパーツを傷める
ロードバイクのチェーンオイルは少量を、そっと置くように注油するのが基本です。
スプレータイプ・ボトルタイプのそれぞれで注油する際の大まかな手順は、以下のとおりです。
スプレータイプ
- 注油する箇所のうしろ側にウェスなどの布を当てる
- 必要最低量のオイルを噴霧する
- 余分なオイルは丁寧に取り除く
ボトルタイプ
- 注油する箇所のうしろ側にウェスなどの布を当てる
- チェーンの軸部分に1点ずつ注油する
- 余分なオイルは丁寧に取り除く
チェーンオイルの作業をする際は、ウェスや捨ててもよい古布を用意し、慎重におこなってください。
チェーン洗浄の頻度は最低でも月1回程度
ロードバイクを安全かつ快適に乗りこなすために、チェーンの洗浄は最低でも月に1回程度はおこなってください。
理想は、ロードバイクに乗るたびにチェーン洗浄することです。悪路でなくても、道路を走るだけでチェーンオイルには砂やホコリが付着します。汚れが付着した状態が長くなるほど、ギアやチェーンに負担がかかり、ロードバイクが劣化する原因になりかねません。
ただ現実には、ロードバイクに乗るたびに チェーン洗浄するのは難しいでしょう。特に通勤や通学などで日常的にロードバイクに乗る場合は、ほぼ不可能です。
チェーン洗浄が負担にならない範囲で、かつロードバイクにかかる負担も軽減するなら、最低限月に1回のメンテナンスを習慣にしてください。これに加えてチェーンの汚れが目立つ場合は、可能な限りチェーンを洗浄することが大切です。
作業は基本的に屋外でおこなう
ロードバイクのチェーンの洗浄は、屋外でおこなってください。やむを得ず室内でおこなう場合は、十分に換気することが必須です。
チェーン洗浄用のクリーナーはスプレータイプが主流のため、目には見えなくても細かな粒子が飛散します。クリーナーには揮発性が高い成分もあり、大量に吸い込んだ場合、頭痛や吐き気などの健康被害を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
頻繁におこなうチェーン洗浄を安全に実施するために、十分に換気できる環境を確保してから作業してください。
おすすめ専用クリーナー5選
「ロードバイクのチェーン洗浄専用のクリーナーは、どれを選べばいいの?」
こういった疑問にお答えすべく、種類豊富なロードバイクのチェーン専用クリーナーの中から、特におすすめなクリーナを5つご紹介します。
AZ(エーゼット)|チェーンクリーナー 650ml ブラシ付
画像出典:AZ
浸透性が高い遅乾タイプのため、チェーンの隙間まで入り込んで汚れを溶かして落とします。低臭タイプで、臭いが気になりにくいのもメリットです。ゴムやプラスチック部分でも安心して使用できます。
参考価格(税込) | 715円 |
タイプ | スプレー |
容量 | 650ml |
WAKO’S(ワコーズ)|CHA-C チェーンクリーナー
画像出典:WAKO’S
非乾燥性で、少ない量で洗浄できるチェーン用洗剤です。防サビ剤が配合されており、サビ防止効果が期待できます。また生分解度80%の環境に優しい点もメリットです。
参考価格(税込) | 2,181円 |
タイプ | スプレー |
容量 | 330ml |
呉工業|フォーミングウルトラクリーナー
画像出典:呉工業
自転車のチェーンのみならず、工具や電気製品などの金属、プラスチックパーツ類の洗浄、キッチン回り、壁・合成皮革などの油汚れの洗浄ができる洗剤です。弾ける泡で汚れを落とし、仕上げは乾拭きだけで完了するので、簡単に清掃できます。
参考価格(税込) | 1,210円 |
タイプ | 泡 |
液性 | アルカリ性 |
容量 | 420ml |
WAKO’S(ワコーズ)|フォーミングマルチクリーナー
画像出典:WAKO’S
参考価格(税込) | 1,646円 |
タイプ | 泡 |
液性 | 弱アルカリ性 |
容量 | 380ml |
MOTOWN(モータウン)|チェーンデグリーザー
画像出典:MOTOWN
落ちにくい古いチェーンオイルや泥などの頑固な汚れをきれいに洗い上げる、アクリル系のチェーンクリーナーです。チェーンを回転させながらスプレーし、数分放置したのち、ブラシで擦って汚れをしっかり落としたら水洗いして仕上げます。
参考価格(税込) | 1,320円 |
タイプ | 液体 |
容量 | 500ml |
東京・神奈川・埼玉ならサイクルショップCOGGEYがおすすめ!
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サイクルショップCOGGEYとは、東京、神奈川、埼玉を中心に9店舗を展開する自転車専門店です。
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まとめ
ロードバイクのチェーンの洗浄は、長く安全にロードバイクに乗るために大切です。
チェーンを装着したままでも洗浄できます。しかしもう一手間かけて、チェーンを取り外してから洗浄すると、細部に入り込んだ汚れまで落とせるのでおすすめです。
ただロードバイクのチェーンを取り外して洗浄する際は、万全の準備を整え、手順を守って丁寧におこないます。チェーン洗浄する際は、以下の3点にご注意ください。
- チェーンオイルはつけすぎない
- 最低でも月1回程度はチェーン洗浄する
- チェーン洗浄は基本的に屋外でおこなう
またロードバイクの寿命を延ばすために、定期的なチェーン洗浄と共に、ショップでのメンテナンスも受けることが大切です。こまめなケアで、愛用しているロードバイクの寿命を伸ばしながら、快適な乗り心地を維持してください。