自転車利用時に、ヘルメットの着用が努力義務化されたことをご存知でしょうか。これまで幼児や児童が自転車に乗る際、ヘルメット着用が努力義務とされていましたが、2023年4月より全年齢が対象になりました。
ヘルメットの着用が努力義務になったことを知っていても、詳しくわかっていない人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、自転車利用時のヘルメット着用の努力義務化について解説します。法律や都道府県の条例、罰則の有無、あわせて行いたい安全対策などをご紹介。
自転車利用時のヘルメット着用について知りたい方や、まだ自転車のヘルメットを購入していない方は、ぜひご覧ください。
自転車利用時のヘルメットは2023年4月より全国で努力義務化
2023年4月1日に改正道路交通法が施行され、自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されました。
これまでヘルメット着用については、保護者が13歳未満の児童や幼児に着用させる努力義務を負っていました。4月からは、すべての人がヘルメット着用の努力義務の対象となり、年齢制限が撤廃された形です。
4月に施行された改正道路交通法では、下記の努力義務が定められています。
- 自転車利用者がヘルメットを着用する
- 自転車の同乗者に対してヘルメットを着用させる
- 保護者は、児童または幼児の自転車乗車時にヘルメットを着用させる
実際の「道路交通法 第63条の11」は下記のとおりです。
第六十三条の十一
- 自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
- 自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
- 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
自転車乗車時のヘルメット着用義務に関する条例をチェック
都道府県によっては、道路交通法以外にも独自の条例で、自転車のヘルメット着用を義務付けている場合があります。
都道府県の条例によっては、ヘルメット着用以外にも義務がある場合もあるため、お住いの地域の条例はチェックしておくのがおすすめです。
この記事では、参考として東京都・神奈川県・大阪府・京都府の条例を紹介します。
東京都
東京都では、「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」にて、自転車に関する条例が定められています。
ヘルメットの着用については、第15条と第19条にて、
- 監護する未成年者のヘルメット着用
- 親族または同居している高齢者へのヘルメット着用促進
- 自転車利用者のヘルメット着用
が努力義務として定められています。
実際の条文は下記のとおりです。
- 第十五条 父母その他の保護者(以下単に「保護者」という。)は、その監護する十八歳未満の者が、自転車を安全で適正に利用することができるよう、指導、助言等を行うことにより、必要な技能及び知識を習得させるとともに、当該十八歳未満の者に反射材を利用させ、乗車用ヘルメットを着用させる等の必要な対策を行うよう努めなければならない。
- 高齢者(六十五歳以上の者をいう。以下この項において同じ。)の親族又は高齢者と同居している者は、当該高齢者が自転車を安全で適正に利用することができるよう、反射材の利用、乗車用ヘルメットの着用その他の必要な事項について助言するよう努めなければならない。
(十八歳未満の者の教育又は育成に携わる者による指導等)- 第十九条 自転車利用者は、反射材、乗車用ヘルメットその他の交通事故を防止し、又は交通事故の被害を軽減する器具を利用するよう努めるものとする。
(自転車点検整備指針)
神奈川県
神奈川県では、「神奈川県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」にて、自転車に関する条例が定められています。
ヘルメットの着用については、第12条2項と第13条2項にて、
- 同居する親族の高齢者へのヘルメット着用促進
- 保護する幼児・児童へのヘルメット着用
が努力義務として定められています。
実際の条文は下記のとおりです。
第12条2 高齢者(70 歳以上の者をいう。)と同居する親族は、乗車用ヘルメットの着用を勧める等当該高齢者の自転車の安全で適正な利用について配慮するよう努めなければならない。
第13条2 保護者は、幼児(法第 14 条第 3 項に規定する幼児をいう。以下同じ。)若しくは児童(同項に規定する児童をいう。以下同じ。)が自転車を利用するとき又は幼児若しくは児童を乗車させて自転車を利用するときは、当該幼児又は児童に、法第 63 条の 11に規定する乗車用ヘルメットの着用に加え、その発達段階に応じ、肘当て、膝当て、手袋その他の交通事故による被害の軽減に資する器具の着用をさせる等安全上の措置を講ずるよう努めなければならない。神奈川県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例
大阪府
大阪府では、「大阪自転車の適正な利用の促進に関する条例」にて、自転車に関する条例が定められています。
ヘルメットの着用については、第11条2項にて、「高齢者のヘルメット着用の努力義務」が定められています。
実際の条文は下記のとおりです。
第十一条2 高齢者は、自転車を利用する場合は、乗車用ヘルメットその他自転車の利用に係る交通事故による被害の軽減を図るための器具を使用するよう努めなければならない。大阪自転車の適正な利用の促進に関する条例
京都府
京都府では、「京都府自転車の安全な利用の促進に関する条例」にて、自転車に関する条例が定められています。
ヘルメットの着用については、第12条1項にて、「自転車に同乗する小学校就学前までの幼児に、ヘルメットを着用させる義務」が定められています。
実際の条文は下記のとおりです。
第12条 自転車を利用する者は、道路(道路法(昭和27年法律第180号)第2条第1項に規定する道路及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。)において、自転車に取り付けられた幼児用乗車装置に小学校就学の始期に達するまでの者を乗車させるときは、当該者に乗車用ヘルメットをかぶらせなければならない。
努力義務ではなく「義務」という点が、他の3府県との違いです。自転車に幼児を同乗させる場合は、ヘルメットを着用させる必要があるのでご注意ください。
ただし、条例に違反したとしても罰則などは定められていません。
自転車乗車時にヘルメットをしないと罰則はある?
自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化にあたり、気になるのがヘルメット着用を怠った場合の罰則の有無です。
ここからは、ヘルメット着用しなかった場合の罰則について解説します。
努力義務なので罰則はない
自転車乗車時にヘルメットを着用することは、あくまで努力義務のため、罰則などはありません。
努力義務とは、法律の条文で「~するように努めなければならない」と記載されている内容を指します。
ヘルメット着用に関わる「道路交通法 第63条の11」の条文は下記のとおりです。
第六十三条の十一
- 自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
- 自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
- 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。道路交通法|e-Gov法令検索
着用に努める必要はありますが、義務ではないため道路交通違反で検挙される心配はありませんし、罰則や罰金などもありません。
とはいえ、罰則がないからといって、ヘルメットを着用しないのはおすすめできません。
罰則はないものの警察は強く推奨
ヘルメットを着用しなくても罰則はありませんが、警察はヘルメット着用を強く推奨しています。
警察庁によると、自転車乗車中の事故で亡くなった方の約6割は、頭部の損傷が原因です。(平成30年~令和4年合計)
さらに、自転車乗車中の交通事故でヘルメットを着用していなかった方の致死率は、着用していた方に比べて約2.1倍高くなっています。
引用元:警察庁
つまり、ヘルメットを着用するだけで、事故に遭った場合の致死率を半分以下に抑えることが可能です。
罰則がないことを理由にヘルメットを着用しないのではなく、自身や大切な人の安全のためにもヘルメットの着用をご検討ください。
ヘルメット着用と合わせてできる安全対策
ヘルメットを着用すると、事故での致死率を下げられますが、十分とは言えません。他にも自転車乗車時にできる安全対策はたくさんあるので、ヘルメット着用と合わせて実施するのがおすすめです。
ヘルメット着用と合わせてできる安全対策としては下記のものが挙げられます。
それぞれ解説するので、ご確認ください。
ライトと反射板の装備は必須!
ライトと反射板は必ず装着しておきましょう。
ライトと反射板を装着しておけば、周囲の車や自転車、人から気づいてもらいやすくなり、事故のリスクがぐっと下がります。
そもそも、自転車のライトと反射板の装着は、道路交通法第52条と第63条9で、それぞれ必須と定められています。もし違反した場合は、5万円以下の罰金が課せられてしまうため、必ず装着しましょう。
ライトを使用する際には、点滅ではなく点灯させておかなければならないと定められているため、ご注意ください。
反射板の代わりにテールライトを装着しても問題ありません。ただし、テールライトも点滅ではなく点灯させておく必要があります。視認性を上げるためにリアライトを点灯させたい場合は、反射板とリアライトを併用するのがおすすめです。
夜間には目立ちやすい色の服や装備を使用する
夜間に目立ちやすい色の服や装備を使用するのもおすすめです。
夜間はどうしても視認性が下がってしまうため、周囲から気づいてもらいにくくなってしまい、事故のリスクが高くなります。
ライトや反射板を装着していても、気づいてもらえない場合もあるため、目立ちやすい色の服や装備を使用しておき、少しでも視認性を上げておくのがおすすめです。
装備については、反射ベストや脚につける反射ベルト、靴に貼る反射シールなどがあります。
少しでも周囲から気づいてもらいやすくして、事故を未然に防ぎましょう。
交通ルールを順守する
当然ですが、交通ルールを順守することも有効な安全対策です。
警察庁によると、自転車と自動車の事故の内、出会い頭衝突による事故が約55%と最も多くなっています(平成30年~令和4年合計)。
自転車と自動車の事故の出会い頭衝突による事故の内、自転車側にも安全不確認や一時不停止などの違反があったとのことです。
よくある交通ルール違反としては、信号無視や夜間のライト無灯火、飲酒運転、車道の逆走、歩道でのスピード出しすぎ、乗車時のながらスマホなどが挙げられます。
交通ルールを守るだけでも、事故に遭うリスクは大きく下げられます。
自転車の交通ルールを把握していない方も多いかと思うので、この機会に交通ルールを確認し、順守していくのがおすすめです。
ヘルメットに見えない!おしゃれなおすすめヘルメット8選
ここからは、おすすめのヘルメットを紹介します。
ヘルメットに見えず、普段使いしやすいおしゃれなタイプをピックアップしていますので、ぜひヘルメット選びの参考にしてください。
OGK KABUTO(オージーケーカブト)|KOOFU CS-1
引用元:OGK KABUTO
参考価格(公式サイト) |
8,580円(税込) |
対象 |
大人 |
サイズ |
S/M、M/L |
重量 |
220g(S/M)、235g(M/L) |
頭周の目安 |
55~88cm(S/M)、57~60cm(M/L) |
カラー展開 |
全8色 |
OGK KABUTO(オージーケーカブト)|CANVAS-URBAN
引用元:OGK KABUTO
参考価格(公式サイト) |
7,040円(税込) |
対象 |
大人 |
サイズ |
M/L |
重量 |
290g |
頭周の目安 |
57~59cm |
カラー展開 |
全10色 |
OGK KABUTO(オージーケーカブト)|LIBERO
引用元:OGK KABUTO
参考価格(公式サイト) |
9,680円(税込) |
対象 |
大人 |
サイズ |
ー |
重量 |
315g |
頭周の目安 |
54~57cm |
カラー展開 |
全2色 |
OGK KABUTO(オージーケーカブト)|SICURE
参考価格(公式サイト) |
9,240円(税込) |
対象 |
大人 |
サイズ |
ー |
重量 |
350g |
頭周の目安 |
54~57cm |
カラー展開 |
全3色 |
kumoa(クモア)|ナイロンバイザー
引用元:kumoa [クモア]
参考価格(公式サイト) |
10,450円(税込) |
対象 |
大人 |
サイズ |
ー |
重量 |
390g(バイザー未装着時) |
頭周の目安 |
約56~60cm |
カラー展開 |
全8色 |
クミカ工業株式会社|ドルフィンメット
引用元:クミカ工業株式会社
参考価格(公式サイト) |
4,950円(税込) |
対象 |
中学生・高校生 |
サイズ |
S~M、M~L |
重量 |
約430g(S~M)、約460g(M~L) |
頭周の目安 |
約54~58cm(S~M)、約56~60cm(M~L) |
カラー展開 |
全5色 |
OGK KABUTO(オージーケーカブト)|pal(パル)
引用元:OGK KABUTO
参考価格(Amazon) |
4,015円(税込) |
対象 |
4~6歳くらい |
サイズ |
ー |
重量 |
235g |
頭周の目安 |
49~54cm |
カラー展開 |
全8色 |
OGK KABUTO(オージーケーカブト)|pine(パイン)
引用元:OGK KABUTO
参考価格(Amazon) |
3,998円(税込) |
対象 |
1~3歳くらい |
サイズ |
ー |
重量 |
230g |
頭周の目安 |
47~51cm |
カラー展開 |
全8色 |
まとめ
自転車利用時のヘルメット着用の努力義務化について紹介しました。最後に記事の内容を振り返ります。
- 2023年4月1日から自転車利用時のヘルメット着用が義務化
- 都道府県ごとにヘルメット着用義務に関する条例がある
- ヘルメット着用は努力義務なので罰則はない
- 罰則はないが、事故の死亡原因は頭部損傷が多いため、警察が着用を強く推奨
- ヘルメット着用とあわせてライトや反射板、目立ちやすい色の服・装備、交通ルールの順守が必要
ヘルメットの着用は法律で努力義務化されましたが、あくまで努力義務のため、着用しなくても罰則はありません。
ただし、ヘルメットを着用することで、事故に遭ったときの致死率を大きく下げることができるので、ご自身の安全のために着用するのがおすすめです。
自転車のヘルメットには、さまざまな種類があり、ヘルメットに見えないおしゃれなものも販売されています。
まだ自転車のヘルメットを購入していない方は、お気に入りのヘルメットを見つけて、自転車ライフを安全に楽しんでください。